
パワーリハビリテーションを効果的にする「成功の秘訣」は、とてもシンプルな下記の3点です。

平成18年度の介護保険改正により、新たな介護予防サービスについては、有効性が確立されているプログラムとして、「運動器の機能向上」が新予防給付に導入することが予定されています。今回の改正にいたる背景として、平成15年から厚生労働省にて施策化された「筋力向上トレーニング事業」があります。この事業で行われたトレーニングの状況は以下の通りに整理されます。
・ パワーリハビリテーション
・ マシンを用いる筋力強化
・ マシンを用いない筋力強化
筋力強化トレーニングは、原則として健康な人に対して行うトレーニングで、筋力を増強させることを目的に強い負荷(最大筋力の60%)で運動を行います。筋線維や筋細胞を破壊して再生するために高齢者にはリスクが高い上、頚椎圧迫骨折の危険性、バルサルバ反応による脳梗塞や心筋梗塞の危険性も伴います。強い負荷でのトレーニングでは、どうしても脱落者は増え、高齢者の不安も高まります。
一方、パワーリハビリテーションでは、虚弱、要介護者を対象として、軽い負荷をかけ、普段使われていない、眠っている筋群を呼び起こし、神経と筋肉が協調した行動をとれるようにするもので、結果的に筋力の向上につながることもあります。また、有酸素運動であるため、爽快感をはじめ、うつなどに有効な神経系物質分泌も得られます。さらに、軽負荷であるということが安全性を確保しています。
しかし、最近では、「パワーリハビリテーション」といいながら、理論からかけ離れ「筋力強化」を行っているところも出現しています。これでは、成果が大幅に減少してしまいます。基礎理論を理解して、実践することが重要なポイントです。

大切なのは、フォームとタイミング
フォームとは、運動中の「姿勢」、「動作」です。フォームが適正でないと、不活動筋が活動しないまま終わることになります。
タイミングは、往復運動を一定のリズムで行うということです。例えば、「1,2,3,4 」と4 秒ぐらいのタイミングで引っ張る動作をし、折り
返し「1,2,3,4 」と元に戻します。「往」は忠実にタイミングよくできても、「復」はリズムを乱しがちです。パワーリハビリテーションは
「往復運動」です。
パワーリハビリテーション開始後3 〜4 週までは、「フォームとタイミング」に専念します。
「楽である」が上限の負荷と心得る
パワーリハビリテーションでは、Borg によって提唱されている主観的運動強度(RPE )、Borg 指数で10 〜12 、本人が「楽である」を目安に
負荷量を決定します。「楽である」はあくまでも負荷の上限として考え、これを越える負荷は「パワーリハビリテーションの手法」ではな
く、効果も期待できません。
丁寧な指導で−自主トレではない
マシントレーニングにおいて、どうしても「自主トレーニング」的な扱いにいなってしまうことが多々見られます。虚弱・要介護者にとっ
ては、「フォーム」と「タイミング」を正確に保つことが非常に困難なことなのです。まさに指導者手腕が発揮されるところで、丁寧な指
導が必要となります。とはいってもそれほど難しいことではなく、各マシンに介助者がついて、指導者がフォームとタイミングをチェック
し、必要な指示を与えていけばよいのです。
こんな失敗例−繰り返さないために
軽い負荷の運動は、指導している側が物足りなくなるという欠点があります。それから実際にやっているお年寄りたちも「こんなものでい
いのですか」という物足りなさや、一緒にトレーニングしている人同士で錘の重さをついつい競ってしまうなどして、利用者のニーズとい
う名のもとに、負荷をあげてしまうことも見受けられます。「楽である」の負荷量を、いい加減に捕らえてはいけません。
その他何といっても、基礎理論を勉強しないまま、筋力強化と勘違いして、非常に大きな負荷をかけて失敗するケースもあります。

当研究会が推奨しているマシンを使用してください。
推奨マシンは、ドイツ・プロクソメッド社製の「コンパス」というシリーズで、もともと医療用機器として開発されたものです。体の各部はそれぞれ関係しあっているので、全身の不活動筋を同時に再活動化していくことが重要な鍵です。パワーリハビリテーションでは、「高齢者は下半身が弱いから下半身から」というアプローチではなく、上肢、下肢、体幹とバランスよくトレーニングを行います。このような原理に対応できるマシンということで、コンパスシリーズの中で6機種をパワーリハビリテーション用として使用します。
(マシン推奨に関する基準等は、こちらをご覧下さい)
|